近年、育成牛の初産月齢が低下しているというトピックをよく目にします。
某酪農雑誌では、分娩月齢が若返ることによるメリットが育成費の
削減だけではないことを示すグラフを掲載していました。
そのグラフによると、24か月齢分娩の初産牛よりも
21-22か月齢の初産牛の方が、初産における乳生産が優れていた。
と、いうものでした。
このデータはアメリカでの結果ですが、日本ではどうなのでしょうか?
私の身の回りでは、未だに24日月齢分娩を目標とした管理が言われます。
その理由は、初産での分娩リスクであったり、早く産ませると乳量が出ない。など
様々なものが聞かれます。
それは、つまり、日本の牛が早期熟成にむけた育成管理をなされていない。
もしくは、そういった遺伝的改良が遅れている可能性を感じています。
これまでの「当たり前」は、現代では時代遅れなんてことはしょっちゅうです。
私が高校生の時から言われている24日月齢を初産の目標にするなんてのは、
もう10年も前になるって思うと、年月の流れの速さに驚きますが。。。
冒頭の内容に戻りますが、早く産ませれば乳量が出る。なんて単純な話ではないと思います。
早く初産を迎えるには、早期に種付けを開始する必要があります。
それは、当然リスクを抱えての種付けという意味ではないはずです。
これまで15,16か月に授精を完了させていたものを、13、14か月に完了させることになります。
そのためには、出生から8か月までの飼養管理の見直しが重要だと思います。
強化哺乳による早期離乳も目的に反している気がします。
また、離乳後のCP濃度とその内容もこれまでの内容と量では足りません。
さらに、乾乳期の管理意識を母体だけでなく
胎児をも意識した管理を必要としているかもしれません。
初産分娩月齢を3か月若返らせることによる、経済的効果は大きいです。
とくにこの粗飼料が高騰している時代背景を考えればなおさらです。
後継牛頭数も減らせて、判別精液の使用により、計画的に産子を得れば
現金収入も増えるかもしれません。飼養スペースにもゆとりができるかもしれません。
それらの金額を理解すれば、
育成初期や乾乳期の投資金額を見直すことも苦ではないはずです。
様々なシミュレーションと実践、検証を繰り返して、
時代に負けない酪農を目指していきたいものです。
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