乳牛の餌は、多くのち密な設計を必要とします。
餌の栄養素とそれらの給与量だけでは無く、飼料の物理性、消化性、分解速度など多岐にわたります。これらは、牛の胃が4つあり、特に第一胃といわれるルーメンの持つ機能に加え、そこに存在する多くの微生物を上手く利用しなくてはならないからです。
乳牛の改良に伴って、牛乳の生産性は近年大きく向上しました。わたしは、その変化の過程を牛を飼いながら体感したわけではありませんが、この20年で、牛はガラッと変化し、餌の設計もち密になりました。
酪農家の重要な仕事は「繁殖」、そして「搾乳」です。それらを支える部分に「飼料設計」があります。繁殖も、牛乳の生産も、バランスのとれた、牛にとって良い餌をしっかり食べさせる事で成り立ちます。
タンパクに関しては
CP(粗タンパク)はUIP(非分解性タンパク)40%、DIP(分解性タンパク)60%(内SIPを30%)。
エネルギーに関しては
NDF50%(内75%は粗飼料より)、糖・でんぷんなどを50%。
こういった事を考慮しながら、牛が食べきれる範囲の中で、
多くの餌を組み合わせながら、必要な栄養素を、ルーメン微生物を意識しながら充足させていきます。何より食べなくては話にならない。単一のものばかり給与していては、200種を超えるルーメン内の微生物に偏りが出始める。などなどなど。書き始めたらめんどくさくなるようなほど考慮する事がたくさん。
なにより、いくら机の上で完璧な計算をしたつもりでも、牛を飼っている地域によっては手に入らない餌も有る、価格が高すぎる餌もある。現物を見たり、成分分析をしたら、見当違いの品物だったりもする。その逆もしかり。なにより、牛に給与して、牛の反応が想定と違うなんてことは、何処の牧場でもある事。
人間もそうですが、食べものが一番難しいんです。
もっともっと、勉強しなくては。牛のために。マイペースですが頑張ります。
在籍した新潟大学農学部付属農場で大変お世話になった牛たち |